1. 日本版ビッグバンの主要項目の一つには、企業会計制度の改革があがっている。他の改革(銀行、証券、保険)に比べて注目度が低いようであるが、多くの企業に影響があるという点では他に引けを取らず重要な項目である。改革の方向は、「会計基準の国際化」と「デスクロージャーの充実」である。
2. 「会計基準の国際化」の参考となるものに、国際会計基準委員会(IASC)の動向がある。IASCは、98年4月の証券監督者国際機構(IOSCO)の承認へ向けて作業中で、将来的には、世界各国で単一の財務諸表を使うことも可能となる。
3. 日本では商法の影響により、投資家のための情報(投資決定に必要な情報)よりも債権者に対する情報(分配可能利益の算定)が重視されてきたが、98年4月以降、企業の情報開示が「単体中心」から「連結中心」へ移行することで、投資家への情報開示が強化される。
4. 金融資産の時価会計は投資家へのディスクロージャーの充実に貢献する。しかし、世界各国でもこの導入については議論中である。
5. 「東京市場の再生」には、株式の持ち合いといったわが国特有の状況を考慮しつつも、国際標準の作成に積極的に関与することで、会計基準を常に最先端の状態に保つことが必要となろう。
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