1. 6月に下院銀行委員会を通過した「金融サービス競争法案」は、下院商業委員会に送付され、7月17日、25日、30日と同委・金融小委員会において、同法に関する公聴会が開催された。証人は一様に、金融サービス業の規制緩和の潮流には賛同を示したものの、1)銀行と一般事業会社との分離の緩和、2)全米金融サービス協議会(新設)の是非などに関して、見解の相違が目立った。
2. 銀行と一般事業会社との分離の見直しに関しては、これまで両者の分離緩和に反対の立場をとっていたグリーンスパンFRB議長が態度を軟化させたことなど、多くの証人が分離緩和の流れに理解を示した。しかし一方では、コミュニティバンクや消費者組合が同事項に対して依然として反対の意を示していることにも注目する必要がある。
3. 新設される全米金融サービス協議会は、独自にファイヤー・ウォールを課す権限を有するなどの強力な権限、そのメンバー構成のあり方を中心に否定的な声が多い。証券業務はSEC、保険業務は州監督当局、銀行業務はOCCやFRBが監督する機能別監督制度に加えて、新たに同協議会を設立する必要がない、との声も多くきかれる。
4. 今後、上に述べた2点を中心に、夏期休会開けの9月、商業委員会にて審議が行われる可能性が高い。証券、保険の主管轄権を握る商業委員会において、銀行委員会の法案にどのような修正が入るのか、今後の展開が注目される。
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