1. 英国では、1973年以来、国内株式の取引は、ロンドン証券取引所に事実上集中されてきた。この独占を打破すべく、95年9月、ロンドン証券取引所上場株のうち主要400銘柄を取引する第二の株式取引所であるトレードポイントが取引を開始した。
2. トレードポイントの取引高は徐々に増加している。しかし、取引の量が絶対的に不足しており、場口銭収入によって年間約600万ポンドの運営経費を賄うことができない状態にある。取引所の運営会社であるトレードポイント社は、97年3月期決算で609万ポンドの損失を計上し、経営危機が深刻化した。
3. 97年7月末、トレードポイント社の経営再建策がまとまった。ベンチャーキャピタルやマーケット・メーカー間の取引を仲介するIDBが1,140万ポンドを出資し、当面の破綻は回避されることになった。
4. 今後は、出資者となったIDBの取引参加により、トレードポイントを通じた取引高の増加が期待される。また、筆頭株主となったベンチャーキャピタルは、汎欧州のベンチャー株式取引所をめざすEASDAQにも参加しており、EASDAQとトレードポイントが提携する可能性もある。しかし、ロンドン証券取引所が、この10月からオーダー・ドリブン方式の取引を導入する予定であり、IDBの将来にも不透明感があるなど、課題も大きい。
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