1. 米国では、高齢化の進展を背景に、投資信託や年金商品を通じて個人資金が株式市場に大量に流入している。これに対し日本では、米国を上回るペースで高齢化が進んでいるにもかかわらず、個人金融資産に占める株式の比率は年々低下している。
2. 米国では、投資信託を購入した世帯主が18〜30歳の家計のうち、76%が老後資金のために証券投資を行っている。この層は老後までの期間が長いこともあり、リスク許容度が高く、株式投信の保有比率が高い。
3. 日本でも老後を心配している家計は年々増加しているが、今後1年間で最も重視する貯蓄の種類は預貯金が圧倒的に多く、証券投資を積極化しようという家計は少ない。
4. 近年の個人保有株式残高の金額ベースの増減は、株価の変動によるところが大きい。株価の先行きが不透明な上、不祥事により証券市場不信を招いたという面を考えれば、個人が積極的に株式投資を行おうとしないのもむしろ自然である。このような一時的な要因で個人投資家が証券投資から完全に離れてしまったと悲観することはなかろう。
5. 米国で個人金融資産に占める株式のシェアが上昇し始めたのは、景気が一時的なリセッションから立ち直った91年からである。我が国でも景気の本格的回復を伴った株価の上昇が待たれる。
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