1. タイ・バーツの暴落に端を発した通貨危機により、マレーシアも大きな影響を受けた。これまで株価が高水準にあったこともあり、他のアジア市場に比べても株価の下落幅は大きく、その影響は甚大である。
2. これまで、マレーシアは、資本市場の整備を着々と進めてきた。今年は、95年に発表された資本市場整備に関する「3カ年計画」の最終年に当たり、すでに多くの整備策が実行に移されている。
3. まず、証券取引所の効率化のために、上場証券の完全無券面化と決済期間の短縮が行われた。また、現在3つある派生商品取引所の統合やベンチャー企業のための新市場MESDAQの設立も準備されている。機関投資家の育成については、投資信託業者に関する規制を緩和する一方で、投資家保護の強化も行った。
4. また、金融機関の再編、強化も次第に進みつつある。マレーシアの銀行の規模は小さく、金融資本市場を開放すれば外資系金融機関に太刀打ちできないとの判断から、中央銀行も金融機関間の合併を促している。
5. しかし、債券市場の発展や機関投資家の育成など、既に何らかの対応が取られた分野も含めまだ課題は多い。今回の混乱に臆することなく、市場の整備をより一層進めることが、マレーシアの将来のさらなる発展のためには不可欠である。
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