1. 米国の証券市場自主規制機関であるNASDの理事会は、意思決定の迅速化や組織の効率化を図るために大幅な機構改革を行うことを決定した。
2. NASDの子会社である規制機関NASD-RとNasdaq市場の運営機関Nasdaq Stock Market, Inc. の理事会を縮小し、両理事会のメンバーはNASD理事会のメンバーを兼ねることにする。両機関の業務執行委員会も廃止され、NASD業務執行委員会が新設される。
3. 今回の機構改革は、97年2月に就任したザーブNASD会長が指導力を発揮するための見直しという色彩が強い。当初、ザーブ会長は、子会社の理事会を廃止し、NASD理事会に統合することも検討したという。
4. 今回の改革は、一応ラドマン報告が要求した規制機関と市場運営機関の分離を維持したものと言える。しかし、今後の運営次第では、NASDが二つの機能を兼ね備えることの矛盾が、再び問題化する懸念もある。市場の運営者が公共インフラの提供者からビジネス組織へと変貌していく中で、自主規制機関の在り方そのものが、問い直されているのである。
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