1. 韓国では、我が国と時を同じくして、金融制度の抜本的な改革を目的とした韓国版ビッグ・バンが進められている。敢えて財政経済院を外し、民間企業と金融機関の代表、学識経験者ら31人で組織された大統領直属の金融改革委員会が、既に2度にわたり答申を行い、財政経済院もこれらを受け、6月23日に金融改革案を発表した。
2. 韓国版ビッグ・バンのスローガンは、(1)競争力の強化、(2)利用者重視、(3)金融システムの安全性確保、の3つである。韓国では、金融業の発展の遅れが重要な課題とされてきた。また、昨年OECD加盟を果たした韓国は、今後、金融・資本市場の対外開放を求められる。金融機関の規模が小さく経営も旧態依然としている現状のまま対外開放を進めると、外資系金融機関に国内市場の席巻を許すとの懸念も高まった。
3. 財政経済院の金融改革案によれば、金融機関の業務自由化などを含む多くの内容が年内に実施されることになっている。韓国金融市場の整備に向け、大きな一歩を踏み出したと評価することができる。
4. ただ、中央銀行から金融機関監督権限を新設の金融監督委員会に移管するという点に関しては、中央銀行を始め多くの反対意見があり、難航が予想される。韓国では年末に大統領選挙を控えているため、この点に関しては大統領選挙後に仕切り直しとなるという見方が強い。
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