1. 英国では、97年5月に発足したブレア労働党政権の下で、86年の「ビッグバン」を機に成立した現在の金融・証券市場規制の仕組みを抜本的に見直す改革が進められている。
2. 98年7月30日、英国大蔵省は、現行の「1986年金融サービス法」を全面的に改正する「金融サービス及び市場法」草案を発表した。これによって、ブレア政権が進める制度改革は、立法化の段階に入った。
3. 草案は、昨年10月に証券投資委員会(SIB)が改組されて発足した金融サービス庁(FSA)を銀行、証券、保険といったあらゆる金融サービス業務に関する規制・監督を行う単一の公的規制機関と位置づけ、従来の「政府の監督の下における自主規制」の仕組みからの転換を図っている。
4. FSAによって規制される「規制対象業務」や「投資物件(investments)」は、銀行預金や保険などを含む幅広い概念となっている。業務認可、投資家補償基金、オンブズマンといった仕組みも全て一元化される。
5. 我が国においても、幅広い金融サービスを横断的に規制する「金融サービス法」の必要性が議論されており、英国の今後の動向が注目される。
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