1. 米国では、銀行業と証券業との分離を規定したグラス・スティーガル法の改正を含む、包括的な金融制度改革法案である金融サービス法案(Financial Services Act of 1998)が、10月21日に、上院本会議での審議未了なまま、第105議会は終焉を迎え、廃案となった。
2. 同法によると、金融持ち株会社(Financial Holding Company)傘下で、銀行、証券、保険業を含む、金融業務及び金融業務に付随するあらゆる業務を営むことが認められる。もっとも、FRBやOCCを中心とした、規則(Regulation)や命令(Order)などの改正によって事実上業態間の垣根低下は進んでおり、金融サービス法の成立による、個別金融機関への影響は限定的である。
3. このようななかで、9月23日に、シティコープとトラベラーズの合併がFRBによって正式に承認された。新会社シティグループの業務の一つである保険の引受は、現行の銀行持ち株会社法では認められていない。そのため、現行のすべての業務が認められる経過期間内(最長5年間)に、金融サービス法案が成立しない限り、シティグループは、同業務から撤退しなければならない。このような点からも、1999年1月に開会される第106議会での審議が、注目されよう。
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