1. 98年8月20日、米国の生保保険業務併存の大手保険会社AIGが、個人年金業務に特化した保険会社サンアメリカの買収を発表した。買収価格は約180億ドルで、米国保険業界史上、2番目の大型合併である。
2. サンアメリカ社CEOブロード氏は、AIG社取締役メンバーとして迎え入れられる予定であるが、経営陣・社名、本社のいずれも現状を維持し、独立性を維持する模様である。
3. 今回の買収の背景には、世界的に老後のための資産貯蓄ニーズが高まっていることがある。両社は海外では特に、日本市場に事業機会を見出している模様である。
4. 今回の買収は、退職マネーの取り込み競争に向けて、互いに弱点を補完し合うのが目的であるとしている。AIGの事業ラインを見ると、損保部門、海外部門の比重が高く、米国では、個人年金等の市場で出遅れていた。一方、サンアメリカは、「老後の資産形成専門家」として米国市場で拡大してきたが、海外の販売チャネルを持っていなかった。
5. 個人年金を中心とした退職マネー市場の可能性は評価されているが、薄価の6倍弱という買収価格に懸念を示す声もある。また、両社の合併発表後は株式市場が軟調に推移していることもあるため、今のところ追随の動きは見られない。
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