1. 1998年9月、米国の有力ヘッジファンド、ロングターム・キャピタルマネジメント(LTCM)社の巨額の損失が明らかになり、ニューヨーク連銀のイニシャティブで破綻が回避されるという事態が生じた。
2. ヘッジファンド救済で明らかになったことは、大手金融機関がヘッジファンドに積極的に投融資しており、その損失が、これら金融機関の経営に無視できない影響を与えるということである。こうしたヘッジファンド関連の損失に加え、世界市場の混乱は、直接的にも大手金融機関の収益を圧迫しつつある。
3. 今回の問題の結果、ヘッジファンド規制論が台頭している。しかし、より重要な問題は、各種のハイリスク取引を金融機関が積極化させていたことである。
4. 急成長を続けていたヘッジファンドは、今回の問題を転機とし、調整局面を迎えよう。しかし良質のヘッジファンドについては、中期的には、オルタナティブ資産として正当に位置づけられていこう。
5. 今回の問題の本質は、金融システム問題である。今後、ヘッジファンドの行方よりも、金融機関経営の健全性の問題がクローズ・アップされていこう。
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