1. ベトナムでは、86年12月に打ち出された「ドイモイ(刷新)」政策に基づき、市場経済システムの導入が進められている。そうしたなかで、90年代初めから議論されてきた証券市場の創設が、ようやく現実味を帯びてきた。
2. 98年7月11日付けで公布された「証券及び証券市場に関する政令」及び「証券取引センターの創設に関する首相決定」によって、初めて証券取引に関する法規制が整備されるとともに、ハノイ、ホーチミンに証券取引センターを開設することが決定された。
3. 証券市場に関する政令は、公募概念、証券取引センターや証券取引所などの組織された市場、証券会社、証券投資ファンド、証券決済、不公正取引の禁止などについて規定している。証券取引全般にわたる包括的な法令として評価することはできるが、全般的に規制色が強く、合理的に解釈しにくい規定も少なくない。
4. 今後、首相決定に基づく証券取引センターの開設が進められることになる。しかし、国営企業の株式化もあまり進展しておらず、アジア経済危機のなかでのスタートという悪条件もあり、ベトナム証券市場の前途を楽観視することはできない。
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