1. 3月6日、ドイツで審議が遅れていた第3次資本市場振興法が成立、4月1日に施行された。89年の第1次、94年の第2次に続き、ドイツの資本市場活性化を目的として制定されたものである。
2. 第3次資本市場振興は、証券取引法、取引所法、投資会社法(投資信託に関する法律)、企業参加法(ベンチャー・キャピタルに関する法律)、などの改正を内容とするものである。その主な内容は、(1)資本市場の利用促進、(2)投資家保護の強化、(3)投資信託の多様化、(4)ベンチャー・キャピタルの促進、の4点である。
3. ドイツでは、これまでも資本市場の活性化を目指してきたが、期待された成果は上げられていなかった。株式市場の規模は小さく、株式は企業の資金調達手段としても、個人投資家の運用手段としても、大きな役割を果たしてこなかった。ドイツの企業に活力をもたらすと同時に、ドイツを欧州の金融センターとするためにも、資本市場の活性化が必要とされたのである。
4. 最近では、変化の兆しも見られるようになっている。株価が上昇していることもあり、97年の売買代金は前年比52%増となった。ドイツ企業が関連したM&A実施額も過去最高を記録し、派生商品取引所での取引高も増加している。
5. 自己株式取得に関する制限の緩和やストック・オプションの導入などを目的とした株式法の改正もまもなく行われる予定である。これら一連の法改正が、活性化しつつあるドイツの資本市場をさらに後押しすることができるか、今後の動向が注目される。
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