1. 98年4月6日、全米第2位(97年総資産3,109億ドル)の銀行であるシティコープと、金融コングロマリット(証券、保険、消費者金融)のトラベラーズが、対等合併を発表した。合併価格は820億ドルで、新会社シティグループは、世界最大級の金融機関となる。
2. 存続会社はトラベラーズで、銀行持株会社の申請を行う予定である。銀行による保険の引受は基本的に認められていないが、シティグループは、既存業務を最大5年間維持できる。同社は議会で金融サービス法の議論が進んでいることもあり、規制緩和の可能性が高いとみて、合併に踏み切った。
3. 両社の狙いは、商品の品揃えを補完しあい、両社の顧客に総合的な金融サービス業を提供していくことである。ただ、議会における業際問題の審議の行方が不透明なこともあり、今後の動向が明らかになるのは、先のことのようである。
4. むしろ短期的には、相対的に見劣りのする他の金融機関への波及効果が注目されている。翌週の4月13日には、米銀トップ10行の中の4行を巻き込んだ大型合併2件(ネーションズ・バンクとバンカメリカ、バンクワンとファースト・シカゴNBD)が同時に発表された。スケール競争の白熱化が予想される。
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