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資本市場クォータリー 1998年春号
加速化する米銀のスケール競争
沼田 優子
要約
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1. 世界最大の金融機関シティグループの合併発表からわずか8日後の98年4月13日、大手米銀のネーションズバンクとバンカメリカ、バンク・ワンとファースト・シカゴNBDが、それぞれ対等合併を発表した。

2. 70〜80年代の金利自由化の中で、米銀は証券業務に参入するなど、商品を多様化させてきたことは周知の事実であり、シティグループの合併はその集大成の一形態と考えられよう。

3. また、80年代より州際業務規制(州を超えた支店展開の規制)が緩和されたため、スーパーリージョナルズと呼ばれる大手地銀が、サンベルト地域を主体に低コストの決済性預金のシェアを獲得しつつ、営業基盤を拡大してきた。

4. 90年代、不良資産問題を乗り越えた銀行業界では、上記の動きが相俟って、既存個人顧客への多様な商品のクロスセル(複数商品を売り込むこと)で、安定した手数料収入拡大を志向するようになった。しかし、リテール分野における銀行の競争相手である投資信託会社やディスカウント・ブローカーは、全国レベルのマーケティングを展開している。そこで、米銀にとっても、「ナショナル・ブランド」の確立が急務となり、大型合併が加速化している。その典型と考えられるのが、今回同時に発表された2つの合併であろう。

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