1. 公開会社の自己株式の取得・消却枠を拡大する消却特例法の改正法案が、資本市場活性化策として緊急立法され、98年3月30日に成立、公布と同時に施行された。
2. 公開会社による資本準備金を原資とする消却は、2000年3月31日までの時限措置であるほか、98年の最初の株主総会開催までの間は取締役会の決議のみでスタートできるという特例措置も設けられている。
3. 資本準備金を原資とする消却は、利益を原資とする消却と対比すると、(1)数量制限がない、(2)定款に取得総額を記載する必要がある、(3)債権者保護手続きが必要である、などの違いがある。
4. 資本準備金を原資とする自己株式の消却の導入により、企業の財務戦略の幅が広がるほか、低収益企業も自己株式の取得・消却を実施しやすくなる。今回の改正は、資本市場活性化とともに、株主への利益還元策としても期待されている。自己株式の消却は、余剰資金および自己資本が減少し、会社の財政基盤を弱めることにもなるため、特例措置に基づき株主の承認を得ずに行う消却は、とりわけ企業の慎重な取り組みを期待したい。
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