1. 香港最大の証券会社ペレグリンの経営が破綻し、1月13日、トーズ会長が清算手続きに入ったことを発表した。ペレグリンは1988年に設立された新しい証券会社で、わずか数年のうちにアジアの最有力証券会社にのし上がったが、問題が明らかになってから破綻に追い込まれるまでの期間もまた短かった。
2. ペレグリンが数年の内にアジアの最有力証券会社となった成功の秘訣は、(1)有力人物とのコネクション、(2)自己ポジションを利用した短期間でのディールとりまとめ、にあった。ペレグリンを清算へと追い込んだインドネシアのステディ・セイフ社へのつなぎ融資も、ペレグリン流を象徴するようなディールであった。
3. ペレグリンの経営戦略はリスクの大きいものではあったが、人脈が重要な役割を果たすこと、アジア通貨の為替レートが米ドルにほぼ連動していたこと、アジアの高成長が今後も継続すると信じられていたこと、を考えれば、地場の証券会社ならではの戦略と評価することも可能である。ただ、短期負債比率の高い財務内容は、リスクの高い経営内容からすれば、あまりにももろかったと言えよう。
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