1. 6月5日に国会で成立した「金融システム改革法」は、証券取引所と店頭市場の位置づけの見直し、私設取引システム(PTS)の開設や取引所間の合併の容認など、市場規制に係わる証券取引法の規定に大幅な改正を加えている。
2. 改正法では、証券業協会の開設する店頭市場と取引所市場が、ともに有価証券市場として対等に位置づけられた。取引所の合併が可能となるなど、設立、退出に関する規定も整備された。また、取引所集中義務を撤廃するという方針に従って、取引所外取引に関する規定が整備されるとともに、PTSの開設が証券業務の一環として可能となった。
3. こうした改正は、いわゆる市場間競争を前提とするものである。証券取引所や店頭市場、PTS、場外取引のマーケット・メーカーなどが自由に競争する時代を迎えるための制度的環境が整えられることになる。他方、こうした競争にさらされる取引所の運営については、その自由度を高めるための規定の見直しも行われた。
4. 今回の改正は、米国の75年証券法改正にも匹敵する画期的意義を有する。しかし、我が国では市場間競争は、未だ現実のものとはなっておらず、今後、事態の進展とともに更なる見直しが必要となる可能性も否定できない。
|