1. 米国では、5月13日、銀行、証券、保険の相互参入を認める1998年金融サービス法案が214対213の僅か1票差で可決された。今後の審議は、上院銀行委員会、上院本会議へと移されるが、審議のために残された時間は少なく、今会期中における同法成立の可能性は、依然として低い。
2. 下院本会議案では、昨年からの一連の議論で焦点となっていた、銀行と一般事業との分離緩和が削除された他、機能別監督制度を補完するものとして注目された、全米金融サービス協議会の新設も見送られることとなった。
3. 代わって、下院本会議案の最大の注目点となったのは、1)銀行による証券、保険商品の販売に関する消費者保護、2)消費者やコミュニティバンクをはじめとする中小銀行への影響に関する調査報告の義務づけの2点が盛り込まれたことである。金融サービス業の業務範囲拡大を図ると同時に、金融業の垣根低下による弊害にも眼を向ける動きが出てきたことは、注目されよう。
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