1. 証券版セーフティネットとして、98年12月、従来の寄託証券補償基金を改組し、投資者保護基金が設立される。各証券会社の自発的な寄付金に基づく寄託証券補償基金と異なり、投資者保護基金においては、証券会社による資金拠出が義務づけられたうえ、資金の借入れも認められるなど、その財務基盤を増強することとなった。
2. また、顧客の証券会社への預かり資産の分別管理が徹底されることとなった。従って、投資者保護基金の役割は、分別管理の徹底によっても、顧客資産を補償出来ない事態に対処することにある。
3. 同基金は、補償対象となる顧客を、適格機関投資家などを除く「一般顧客」に限定し、補償上限額は、一人あたり1000万円となる見込みである。
4. 顧客資産の分別管理の徹底、投資者保護基金の設立によって、我が国証券市場の信頼性が高まることは評価できよう。もっとも、同基金は、1)証券会社の拠出金の算定ベースをどう設定するのか、2)寄託証券補償基金の資産、負債を継承するのか、など残された課題も少なくなく、今後の展開が注目される。
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