1. 97年度の決算において、生命保険業界全体が保有する個人保険の契約残高が、戦後初めて前年比マイナスとなった。これにより、生命保険会社が取り扱う主要な保険商品全てにおいて保有契約残高がマイナスとなった。
2. 個別の会社についてみると、大手の会社と中堅の会社との間や、財務内容が健全な会社とそうでない会社との間で、契約の増減状況に差があり、契約者が保険会社を選別するようになってきていることがうかがわれる。
3. 定期保険等の伝統的な保険市場が飽和した後には、販売力だけでなく資産運用能力が生命保険会社の経営にとって重要となる。こうした中、従来一様であった生命保険会社の運用についても、最近ではバラツキが出てきている。
4. 昨年度決算から、不良債権の開示が新基準となり、また、生命保険会社の自己資本比率に相当するソルベンシー・マージン比率の公表が開始された。ソルベンシー・マージン比率の水準や、資産の含み益や劣後ローンといった負債性の資金への依存度については各社で差がある。
5. 生命保険市場の成長にかげりが見えてきていることで、今後は市場シェアの獲得に競争の焦点が移り、業界の寡占化が一気に進むことも予想されよう。
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