1. 年金基金資産の増加、活発な国際分散投資そして大企業間のクロスボーダーM&Aにより、コーポレート・ガバナンスへの取り組みも国際的に急速に進展している。さる7月8―10日、コーポレート・ガバナンスに関する各国の機関投資家の意見交換の場である国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)は第3回年次総会を開催した。今回の総会では、国際コーポレート・ガバナンス原則と国際議決権行使原則の採択が注目されていた。
2. 提案された国際コーポレート・ガバナンス原則は、アングロ・アメリカ型ガバナンス構造の色彩が強く、さらなる議論が必要ということになり、公開草案とされた。1999年の第4回年次総会で、再度諮られることになった。
3. 国際議決権行使原則の採択には、株主のみならず、カストディアンなど議決権行使の仲介者の切実な要望が強く、各国における早期浸透が促された。
4. 我が国においても、機関投資家によるコーポレート・ガバナンス行動の必要性が徐々に浸透しつつあるが、その行動のよりどころとなるポリシーについてはさらに議論が必要である。第5回年次総会は、2000年7月に東京で開催されることが提案された。それまでに、我が国におけるコーポレート・ガバナンスへの姿勢が明確に打ち出されるよう期待されている。
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