1. アジア金融危機の余波を受けた香港では、金融・資本市場の広範な見直しを行ってきた政府が、その成果を4月末に金融市場レビュー報告書として発表した。また、6月には、香港証券取引所が95年に発表した3カ年計画に代わる5カ年計画、"Positioning for a New Era"を公表した。
2. 政府による金融市場レビューは、今回の金融危機への対策を検討したものであるのに対し、証券取引所の5カ年計画は、中長期的に「中国のマンハッタン」となることを目的とした中期計画であり、今回の証券市場の混乱をきっかけにまとめられたものではない。
3. 香港でも、空売りや派生商品取引が市場の混乱を助長したという主張は多々みられたが、いずれもこのような意見を退け、さらなる証券市場の整備、拡大が必要であるとしている。
4. 香港にとって、金融機能の強化は政策的に高いプライオリティが置かれている分野である。ここで示された対策が即効性を持つとは考えにくいが、アジア経済が立ち直った際に、これらの対策がどの程度の効果を持つかが注目される。
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