1. 米国財務省は、97年11月、「21世紀の米国金融」と題するレポートをまとめ、議会に提出した。それによると、今後米国における金融監督は、個別金融機関の破綻防止よりも、危ない金融機関を早期に発見、隔離し、市場の安定を維持すべき、との見解が示されている。大恐慌時代の遺物的性格が強い20世紀の金融監督から抜け出し、より市場規律を重視した監督体制を築いていくことが必要である、とのことである。
2. 金融監督は、規制(regulation)と市場規律(market descipline)とのバランスによって行われるが、銀行業を例にとると、連邦預金保険の存在のため、これまで規制のほうが重視されてきた。現在の規制と市場規律とのバランスが適切かどうかは、今後の金融監督を実施するうえで大きな問題である。
3. 同レポートでは、基本的に、早期是正措置の徹底など、最近の一連の金融監督の基本路線を変更する必要はない、との判断がされていると読みとれる。したがって、金融監督の新たなあり方が打ち出された、というよりはむしろ、最近の監督当局の一連の動きを支持、正当化するものとして位置づけられよう。
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