1. 最近、米国の大手地銀が、買収戦略を積極化させている。(1)メロンによるパシフィック・ブローカレッジ買収のようにディスカウント・ブローカーを傘下に組み込む動き、(2)ファースト・ユニオンによるウィート・ファースト・ブッチャー・シンガー買収のように株式引受業務に強みを持つ地方証券会社をターゲットとする動き、(3)フリートのコロンビア買収のように資産運用業務の強化を図る動き、が目立っている。
2. こうした買収の背景としては、市場環境は悪くないものの銀行業務の成長余力に限界があると見られていること、伝統的銀行業務の衰退に対応して業務の多様化を図っていること、などが指摘できる。
3. これらのディールに共通した特徴としては、(1)買収の目的が明確であり、全ての業務を揃えるといった単純な拡大ではない、(2)業績不振の会社でなく、各分野で成功している会社をターゲットとしている、(3)いわゆるシナジー効果を無理に求めず、被買収会社の独立性を尊重している、といった点が指摘できよう。
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