1. 米国の「1940年投資会社法」は、投資会社(会社型投資信託)に対して、役職員の窃盗及び横領行為による被害を担保する保険に加入することを義務づけている。こうした保険は、投資信託の財産が失われ、投資家が被害を受けることを防止するセーフティ・ネットの役割を果たしている。
2. 投資信託向けの保険を専門的に提供する会社として、投資会社協会(ICI)が設立したICIミューチュアル保険会社がある。この会社は、役職員の不正による損害担保を始めとする様々なリスクに対応した「包括保証保険」と投資家への損害賠償などに対応する「役職員過失怠慢責任保険」を提供している。
3. ICIミューチュアルの保障範囲は広範に及ぶ。最近では、電話やコンピュータを利用した投資信託販売に伴う詐欺などによる損害を保障する保険も発売している。MMFの投資対象証券がデフォルトに陥った場合に保険金が支払われるという商品も検討中である。
4. わが国の投資信託は、委託会社と信託銀行の役割分担が明確で、分別管理義務も米国よりも厳しい。しかし、投資信託の運用者が、法令上の義務とされていなくとも、様々なリスクに対応する保険などの手段を講じておくことは、投資家の投資信託に対する信頼と安心感を高める上で大いに役立とう。
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