1. グラス・スティーガル法の廃止を含み、銀行、証券、保険の相互参入を認める金融サービス法案は、5月6日に上院本会議を、7月1日に下院本会議をそれぞれ通過した。1988年以来何度も審議されてきた包括的な金融制度改革法案が、上下両院の本会議を通過したのは、今第106議会が初めてである。
2. 銀行、証券、保険を始めとした様々な金融サービス業に参入するには、銀行持ち株会社形態を採るか、或いは銀行の直接子会社形態を採るかの何れかである。前議会では、国法銀行の業務範囲が銀行持ち株会社のそれよりもはるかに狭いことが議論の焦点となっていたが、両者の差異は、これまでよりかなり縮小している。
3. 業務範囲に変わって、最大の焦点として浮上しているのは、個人のプライバシー保護に関する規定である。下院法案では、上院案と比してプライバシー保護規定の強化を図る様々な条項、すなわちプライバシーに関する方針の開示から、顧客情報の不正入手に関する禁止・罰則規定、実態の調査報告に至るまで、幅広く規定されている。
4. 今後は、両院協議会で上下院法案の一本化作業を行い、両院で採決にかけた後、大統領の署名を経て成立する運びとなる。
|