1. 最近、米国の株式市場では、電子証券取引ネットワーク(ECN)と呼ばれる一種の私設証券取引所の動向が大きな注目を集めている。ECNの取引高は、Nasdaq市場全体の20%を超えたとされている。
2. 現在、インスティネット、アイランドなど9つのECNがSECによる事実上の承認を受けて稼働している。1969年に稼働し、取引所外私設取引システム(PTS)の先駆け的存在として知られるインスティネットを除けば、いずれも1997年の注文執行義務ルール施行を契機として開設されたシステムである。
3. ECNは、Nasdaq市場の本来の取引形態であるマーケット・メーカー制とは異なり、投資家や証券業者の売買注文を板上で付け合わせる仕組みをとっている。このため、大量の注文を集めなければ、成約率を高め流動性を確保することができない。
4. ECNの登場は、Nasdaq市場における取引の形態を変貌させ、マーケット・メーカーにも大きな影響を及ぼしている。競争が激化する中で、各ECNは、オンライン・ブローカーなどと提携して注文獲得に努めている。また、ECNの再編の動きや証券取引所としての登録をめざす動きなども生じている。
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