1. インターネット・バンキングが注目されはじめた。銀行は、リテール金融サービスのコスト削減と新たな収益源の確保を経営課題とし、その打開策をインターネット・バンキングに見出そうとしているからである。
2. 欧米のインターネット・バンキングの事例をみると、その戦略は様々である。専門銀行としても事業化され、単なる銀行の宣伝広告であった段階からワン・ツー・ワン・マーケティングを基本とする顧客との双方向コミュニケーションの段階、有力な運用手段として採用する段階へと発展してきていることがわかる。
3. さらに、インターネット取引におけるポータル(玄関)・サイト化の波やインターネット・バンキング訪問販売に向けた異業種提携等も現れ始め、顧客基盤の拡大に向けた競争が激化している。
4. そうしたなか、さくら銀行がインターネット専門銀行構想を発表するなど、我が国でもインターネット・バンキングに徐々に注目が集まり始めている。ライバル各行の反応は至って冷静であるが、リテール金融における新たなビジネス・モデルの構築が始まっている。
5. しかし、全般的には、我が国のインターネット・バンキングはやっとATM機能の一部を保持し始めたばかりであり、その展開は遅い。コスト削減意識から双方向コミュニケーションを通じた重要なマーケティング戦略あるいは有力な運用手段としての意識改革が進むか今後の動向が注目される。
|