1. 新興経済国の経済危機が国際金融市場に大きな打撃を与えたことを契機として、99年6月に開催されたG7首脳会議では、経済協力開発機構(OECD)と世界銀行がグローバル・コーポレート・ガバナンス・フォーラムを開催し、両機関が共同して世界の民間企業にコーポレート・ガバナンスの共通した基準の浸透に努めるよう合意された。
2. コーポレート・ガバナンス原則のグローバルなコンセンサスを形成する活動は、機関投資家を中心とする国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)においても大きな成果につながった。99年7月に開かれたICGN総会では、OECDのコーポレート・ガバナンス原則を実践するための「ワーキング・キット」となるグローバル・コーポレート・ガバナンス原則を採択した。
3. 望ましいコーポレート・ガバナンスという規律のある企業が多いほど、市場の効率性は高まる。米英の市場当局は、コーポレート・ガバナンスへの取り組みに力を入れ、さらなる市場の透明性を追求している。まさに国際的な効率性の競争である。
4. 今後ますます企業や投資家のグローバル化が進むとみられる。我が国における証券取引所も、世界中の投資家を魅了し、透明性の高い効率的な市場にならなければ、海外の他の市場に地理的なメリットも取られかねない。取引所としても、投資家・株主が信頼して投資できるよう、上場企業のディスクロージャーの透明性を高めていくことが喫緊の課題である。
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