1. 最近、米国企業の財務ディスクロージャーに関して、利益操作や不十分な監査などの問題が注目されている。企業の財務ディスクロージャーの質を向上するため、トップレベルの財務専門家からなるブルーリボン委員会が98年9月に組織された。そして、99年2月に、取締役会の下部組織である監査委員会と会計監査人の独立性と責任の強化を柱とする10の勧告が提案された。
2. 同委員会の勧告では、(1)独立取締役の定義の見直し、(2)監査委員会の規程書の作成及び活動内容の開示、(3)会計監査人の責任などについて、NYSE、NASD及びSEC等に対して現行規則の見直しが必要であると示されている。
3. SECは、99年を「会計監査人の年」と位置づけ、会計監査に関わる不正行為及び不適切行為の摘発に最も力を入れるとしている。NYSE及びNASDも、各界から意見を求め、早期に上場規則の見直し・適用を考えているもようだ。
4. 我が国では、東証の証券政策委員会から上場基準等にコーポレート・ガバナンスに関する規定の整備をすべきだとする正式の提言がようやくなされたところであるが、市場の信頼回復には、企業の財務ディスクロージャーに対する監査の独立性を早期に確立することが重要であると考える。
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