1. バーゼル銀行監督委員会は、信用リスクウェイトの改訂を含むBIS自己資本比率規制に関する市中協議案を公表し、2000年3月末までにパブリック・コメントの受付を行い、同年中に決定する予定である。
2. 市中協議案は、(1)最低所要自己資本の設定、(2)監督上の検証プロセス、(3)市場規律、からなる3つの柱を相互補完的に活用しようとする包括的アプローチを提唱した。
3. 特に重要なのは、最低所要自己資本の考え方である。現行アプローチをベースによりリスク・センシティブな方向で改良したものであるが、その背景にある論議を追えば、自己資本比率規制の将来に向かって新たなパラダイムの進行を見て取れる。
4. 邦銀の反応はいたって冷静なものとなっているが、今後の国際金融市場で生き残るための条件がリスク管理の巧拙に依って立つことは間違いない。自己資本比率規制の新たなパラダイムに対する確かな認識がまずは求められる。
5. 市中協議案の求める金融システムや金融機関の姿と我が国の現状との乖離の現状を踏まえ、将来に残すべき金融システムと金融機関のかたちを自らの生き残り戦略として意見表明していく必要があろう。
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