1. 公的資金注入を受けた大手行は、「経営健全化計画」のなかでリスク管理高度化とROE経営を今後の重要課題としてあげた。BIS自己資本規制下にあって、邦銀のROE経営は、信用リスク管理を基礎とした自己資本のコントロールが重要となっていく。
2. 邦銀が信用リスク・モデル構築に注力する一方で、欧米先進行はオペレーショナル・リスクの計量化及び統合化を着実に進展させつつあり、ERM(Enterprise Risk Management)と呼ばれ始めた全社的リスク管理へと向かっている。
3. システム・ベンダーや大手コンサルティング会社の間で唱えられ始めたERM概念は、単なる包括的システムから「戦略的マネージメント」の重要ツールに変化しつつある。RAROC等のパフォーマンス評価指標に留まらず、EVA等の企業価値や人事・報酬政策にまで発展させようという試みも見られ始めている。
4. リスク管理高度化が必ずしも順調に進捗していない我が国金融機関も、将来の信用リスク・ビジネスを手にいれるために、ERMを、経営戦略の一環としたリスク・マネージメントとして捉える必要があろう。
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