1. 98年10月23日、金融再生法と早期健全化法が施行され、事前的措置と事後的措置を備えたセーフティー・ネットが整備された。金融再生法では、金融再生委員会による破綻認定によって、金融整理管財人と公的ブリッジバンクへの移行による破綻処理スキームと特別公的管理による一時国有化スキームが整備され、破綻銀行を営業譲渡等によって一定期間内に破綻処理させる旨ルール化された。早期健全化法では、自己資本比率を基準として段階毎に銀行の経営健全化を促すこととなり、破綻前処理が手続化されたほか、自己資本比率8%以上の健全銀行にも公的資金注入の途が開かれることとなった。
2. 金融再生法・健全化法に基づいて不良債権の開示基準や公的資金の注入基準が公表され、銀行は資本増強のための公的資金注入申請を通じて、今年度中に資本注入を受ける予定となった。健全化法の運用について重要な視点は、銀行による情報開示の充実である。今回の公的資金注入によって金融は安定するのかという疑問は、公的資金注入額の妥当性や不良債権額の確からしさ等銀行の情報開示によってしか検証できないからである。市場の「信認」を回復するためには情報開示の充実が必要であることが改めて強調されなければならない。
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