1. 日本証券業協会は、98年11月2日付けで「株式店頭市場改革に向けて(報告書)」を発表した。この報告書は、7月に発表された「株式店頭市場改革の方向性について」を受けて、マーケットメイク機能の活用や登録基準の見直しについての具体策をまとめたものである。
2. マーケットメイカー制度については、会員証券会社がマーケットメイクを行うものとして届出た銘柄を対象に継続的な気配値の表示を義務づける。マーケットメイク銘柄については、日本店頭証券を通じた売買を行わず、マーケットメイカーのスプレッドに関しても制限を課さない。
3. 登録基準については、現在の本則と特則の区別を廃止し、登録を希望する企業が選択することのできる一般企業向け、ベンチャー企業向けの二つの基準を設ける。利益基準などは緩やかなものとするが、流動性に係わる基準は強化し、登録取消基準に関しても同じ考え方をとる。
4. 今回の報告書は、マーケットメイクの義務づけや登録基準の緩和だけがベンチャー株式市場としての株式店頭市場の振興につながるものではないという現実的な見方を示したものとして高く評価できる。しかし、これらの提言に基づく改革が直ちに市場の活性化につながるとまでは楽観できない。
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