1. わが国金融機関を巡る提携・合併が活発化している。97年には、日本債券信用銀行とバンカース・トラストとの提携など、本邦金融機関のリストラ計画支援、体力強化の性質が強い提携が目立った。一方、98年に入ると、日本版ビッグバンの進展に対応した前向きな提携が相次いで発表されている。
2. 一連の提携・合併の中で目立つのは、98年12月の銀行などによる投信窓販解禁に向けた資産運用分野での提携である。この他にも、デリバティブ分野などの特定分野に絞った業務提携、規模の経済を狙った提携などが見られる。
3. これらの動きの背景は、日本の金融機関が、米国の金融界が過去数十年かけて直面し、対処し続けてきた課題を、一度に背負わされたような状況にあることである。しかし提携・合併の中味を見ると、その意義や効果など疑問に思われるものも少なくない。また変化への対応の姿勢も、米国の金融機関に比べて、はるかに微温的と言わざるをえない。
4. 今回の一連の提携・合併が示したものは、未曾有の構造変化への対応戦略というよりも、むしろ、我が国金融機関の多くがそうした戦略を明確に打ち出すことがまだできていない、という事実かもしれない。
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