1. 米国の連邦預金保険公社(FDIC)は、8月に預金保険制度に関するこれまでの議論をまとめ、今後の改革の方向性を問うレポート(オプションズ・ペーパー)を公表し、現在パブリック・コメントを受け付けている。FDICのTanoue議長は、2000年末までに議会に対し、最終的な預金保険制度の改革案を送付すると約束している。
2. 米国では、銀行や預金保険をめぐる問題が表面化していないものの、以下のような背景から、改革論議が本格化している。第一に、93%の銀行が保険料を支払わなくてよく、預金保険基金の残高が伸び悩む一方で、銀行の巨大化や新規参入などがあいまって、保険対象となる預金が、増加の一途をたどっている点、第二に、現在の預金保険の適用上限額が、1980年のそれと比べて実質半分の価値しかないこと、第三に80年代後半から懸案の法案であったグラス・スティーガル法の改廃を規定した法律が99年11月に成立したことである。
3. 現行のリスク・ベース保険料率では、預金保険に及ぼす潜在的なリスクを反映していないため、真にリスクに見合った保険料を銀行に拠出させる方法として、現行の評価方法の見直しに向けた選択肢が紹介されている。また、資金調達の考え方についても、ユーザー・フィー・モデル及びミューチュアル・モデルという相異なるモデルが挙げられている。
4. 預金保険の収入に該当する預金保険料及び支出に該当する預金者への補償とのバランスを考慮した預金保険の最終改革案が期待される。
|