1. 1998年にシティコープとトラベラーズが合併して誕生したシティグループは、1999年の決算に留まらず、2000年に入っても好業績をあげた結果、合併以降一貫して株価が上昇し、投資家から高い評価を得るに至っている。
2. 好業績の背景として、第一に、シティバンクのグローバル・ネットワークを通じたクロスセリングに一定の成果をみたソロモン・スミス・バーニー(SSB)の躍進があり、第二に、合併当初に指摘されたいくつかの課題を着実にクリアし、業務基盤の強化を図ってきたことを指摘できる。
3. 世界の金融サービス業がますますグローバル化するなかで、スケールとスコープの重要性が増している。シティグループはこの両者を満たすことを目標にし、最強の金融サービス業を作り上げつつあるように見える。
4. だが、グローバル性という強みを梃子にスケール・メリットを享受しているものの、必ずしもスコープ・メリットを追求できてはいない。マス・リテール分野のクロスセリング体制を軸とする経営体制の構築も急がれており、その成否が注目される。
5. 課題は3つある。(1)SSBのボラティリティを安定化させられるか、(2)特にマス・リテール分野でのクロスセリング効果を示せるか、(3)やや見劣りのする資産運用業務や保険業務の一層の強化である。
6. 我が国の銀行業においても、グローバル金融サービス業の動向を視野にいれつつ、まずは、金融大再編の成果を着実に示していく必要があろう。
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