1. 少子高齢化の急速な進展、企業会計上の退職給付負担の増加、そして雇用の流動化に対応するため、98年から確定拠出型年金の導入の検討が本格的にすすめられた。2000年3月6日に確定拠出型年金の創設・運営に関する確定拠出年金法案が第147回通常国会に上程されてはじめて、確定拠出年金制度の全容が明らかになった。
2. 同法案は、衆議院解散の影響を受けて廃案となったが、同年9月5日の自民党・私的年金小委員会において、9月下旬召集予定の臨時国会に再提出され、優先処理されることが確認されたことから、早期成立の見通しが高まっている。
3. わが国の確定拠出年金は、事業主が拠出する企業型年金と個人が拠出する個人型年金の2形態からなる。確定拠出年金では、加入者が自己責任で運用を行い、その成果となる年金積立金(個人別管理勘定)から原則60歳以上の高齢期に給付を受けることになる。企業型年金では、事業主のほか、資産運用や記録管理の専門家としての運営管理機関や、年金積立金の保全のための資産管理機関が重要な役割を担うことになる。
4. 法案が成立すれば2000年度内からの実施が予定されており、時間的なゆとりは少ないが、法律上留意すべき点は多い。法案成立後も引き続き、確定拠出年金制度の普及・定着に向けて、税制優遇措置や、事業主・運営管理機関等の行為規制などの見直しが行われることを期待する。
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