1. 3月9日、ドイツ銀行とドレスナー銀行の合併が発表された。総資産122兆円と、瑞穂銀行とならぶ世界最大級の銀行の誕生である。
2. 今回の合併は、単に重複業務の統合、削減による効率性の向上を狙うのみならず、大胆な業務内容の見直しを打ち出している点で、これまで欧州各国で相次いできた大手銀行間の合併とは大きく異なる。特に、マス・リテール金融サービスが新銀行の重点分野に含まれていない。
3. 同分野は、ドイツ銀行のリテール金融子会社であるドイツ・バンク24とドレスナー銀行のリテール部門を統合した上で、バンク24という新銀行として公開される。同行の主たる株主は新ドイツ銀行ではなく、アリアンツである。
4. ドイツ銀行の生命保険子会社であるドイチェ・ヘロルドも、ドイツ銀行のアセットマネジメント・子会社で国内最大の投信投資顧問会社DWS社もアリアンツに譲渡される。
5. リテールやアセットマネジメントを手放す一方で、投資銀行の強化が重視されている。通貨統合の結果、欧州の資本市場が拡大する中で、米系投資銀行の攻勢が続いていることへの対抗を目指すものである。最近まで、ドイツ銀行及びドレスナー銀行の投資銀行業務への挑戦は、それほど功を奏していないと評価されてきた。その意味で、今回の合併の行方が注目される。
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