1. ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー・ディーン・ウイッター(MSDW)、メリルリンチの3社では、M&Aや企業再編に関連したアサインメントから生まれるアドバイザリー業務からの収入が急拡大している。投資銀行部門への依存度が高いゴールドマンでは99年にアドバイザリー収入が20億ドルを超え、MSDW・メリルも10億ドルを上回る収入をあげている。
2. 取扱案件の金額でみたM&Aアドバイザリー市場では、大型案件における上位行への集中が起きており、この3社の地位が際だって強いものとなっている。メリルリンチは、1990年代半ばから急速にこの市場で成長していることが注目される。
3. 米国でのM&Aブームがピークアウトしつつあり、今後は欧州を中心とする国際案件が注目を集めることが予想される。大手商業銀行もアドバイザリー業務の強化を狙うなか、3強としては、法人顧客との関係強化、伝統的業務の維持という観点から、アドバイザリー業務を競争力の源泉と位置づけ、より強固な基盤をつくろうとするであろう。
4. 各社の戦略では、アドバイザリー業務の強化のために、企業評価・株式市場への影響を助言できるリサーチ機能の強化、業界知識・人脈を有する強力なチームの編成、トラックレコードの蓄積などが重視されている。また次の助言案件や伝統的な引受業務への好循環を生み出すために、投資銀行部門トップの方向付けや、マーケティング担当とディール担当の機能分担、評価方法における工夫がみられる。
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