1. 迅速な企業再編が求められる中、最も検討が遅れていた会社分割制度の創設に関する商法改正法案が2000年通常国会に上程された。
2. 現行では、事業の分割・譲渡を行う場合、営業譲渡による現物出資等により100%子会社を設立する方法がとられるが、検査役の検査や債務者の個別同意が必要など、煩雑な手続きを伴わざるをえない。
3. 99年に事業再構築に関する諸特例を認める産業再生法が施行され、分社化に伴う簡易な手続きや税制上の優遇措置が受けられることになったものの、この法律に基づく認定件数はそれほど多いとはいえない。
4. 合併、株式交換とならび商法上の組織変更制度として今回創設が予定されている会社分割制度は、新設会社に事業を分割移転する新設分割と、既存の会社に事業を分割移転する吸収分割という各形態に、従来の分社型と、既存の株主にも分割した事業の移転先企業の株式の割り当てることができる分割型をあわせて、4形態からなる。株主総会の特別決議を経て会社分割が行われることになるが、株主総会を要しない簡易株式分割制度も導入される。
5. 会社分割に最も求められる税制措置等は2001年度に先送りされており、現時点では会社分割制度を利用する場合の全体像が描けない。事業再編には、当面、株式交換・株式移転による持株会社創設と既存のグループ会社の整理・統合および現行法上の現物出資または産業再生法が利用されるであろう。
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