1. 最近個人資金が、投資信託や株式といったリスク資産にシフトし始めている。99年第4四半期及び2000年第1四半期(1、2月のみ)に投信市場に向かった個人資金は、それぞれ約1.2兆円、約1.5兆円の大幅純増となっている。とりわけ株式投信は2月の1ヶ月間に1兆円を超える資金が流入した。
2. 個人資金が証券市場へシフトしてきた背景には、株価の回復や史上最低水準の金利局面もあるが、一連の制度改革によって、証券業務への新規参入の拡大、業務規制の緩和、及び99年10月の株式売買委託手数料の自由化なども影響している。
3. 2000年度から2001年度にかけては、90年度から91年度に預け入れられた郵貯の定額貯金約106兆円が大量に満期を迎えるため、満期資金をてこに、個人資金の証券市場へのシフトがさらに加速する可能性がある。
4. また、急速に進む高齢化社会という観点でも、30代から40代のいわゆる資産形成層の人々が、退職後の生活と公的年金制度への不安感から、株式や投資信託といった有価証券へ貯蓄手段をシフトさせることも想定される。折しも、2001年から導入予定となっている確定拠出型年金プランの適用が広がれば、米国のように投信、有価証券投資の普及度がより高まっていくことは十二分にあり得る。
|