1. 米国に続き、欧州でも債券の電子取引が普及している。MTSやeSpeedなどの先行組に加え、新しいシステムが相次いで稼動し、利用できるシステムが増えてきた。売買できる債券の種類やサービスの内容も拡充している。
2. 債券の売買はもともと電話での相対取引を中心としてきた。債券は株式に比べ、種類が多いこと、債券によって表面金利や満期、担保、返済順位などが細かく異なること、1件当たりの取引金額が大きいこと、などがその理由である。しかし、複数のブローカーと電話で交渉してから売買するのは時間も手間もかかるので、効率的な取引手段として、電子取引システムが求められた。
3. 債券の電子取引システムには、(1)各金融機関が独自に開発するシングル・ディーラー・システム(SDS)、(2)複数のディーラーがマーケット・メークを行うマルチ・ディーラー・システム(MDS)、(3)インターディーラー・ブローカーや証券取引所が提供するシステム、(4)機関投資家同士のマッチング・システム、に分類できる。また、ディーラーをユーザーとするシステムと、機関投資家を対象とするものに分けることもできる。
4. 債券の電子取引において、どのようなシステムが標準となるのかを見極めるのは、容易なことではない。そこで、欧米の大手投資銀行は、SDSを開発する一方で、複数のMDSに出資し、また、インターディーラー・ブローカーのシステムも利用するなど、あらゆる方法を模索している。
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