1. 国内主要生保14社の個人保険・個人年金の解約・失効高は依然として高水準だが、個人保険の新契約高は一部生保で減少に歯止めがかかってきている。団体年金の生保受託額は、14社合計で前年度比5.1%減となった。予定利率引下げに加え、東邦破綻に伴い業界への信用不安が再燃し、企業年金の生保離れが加速した。
2. 14社の保険金等支払金は全般に高止まっており、保険料等収入を上回るものが多い。この状況において、多額の有価証券売却益などの臨時的な収益で逆ザヤ、不良債権償却など費用の多くを賄っている。
3. レポ取引に伴う受入担保金、税効果会計の影響など水増し要因を控除した実質的な資産額は、14社合計で前年度より約2兆4,700億円減少した。
4. 好調な株式相場を背景に、各社で株式含み益が大幅に増加した。円高が進行し含み損を抱える外国証券が増えたが、時価会計導入をにらんだ含み損処理が本格化している。有価証券全体で含み損を抱える生保会社は4社にとどまった。
5. ソルベンシーマージン比率は14社全社で健全とみなされる200%を超えているが、ソルベンシーマージンに劣後債務、多額の含み益が含まれているケースが多い。
6.わが国生保会社の最優先課題は、本業の強化と考えられる。画一的な経営スタイルから脱却し、販売チャネル、商品に工夫をこらしながら、変化するニーズに柔軟に対応すべく方向転換を迫られている。
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