1. 米国では、従業員の自助努力による資産蓄積を促す401(k)プランの急成長とともに、投資・運用に関わる従業員向けコミュニケーションの重要性が高まっている。これに伴い、その中身も単なる情報提供から投資教育、投資アドバイスへと発展していった。特に最近は、オンラインによるアドバイスを提供する専業業者が台頭しつつある。
2. 従業員向けコミュニケーションの発展は、その法的位置づけの明確化の過程と関係が深い。「十分な情報提供」に対する企業の関心が高まったのは、これを提供することにより、受託者責任を軽減出来ることが明らかになったからである。十分な情報の水準については、法廷で議論されるようになっている。また、企業が加入者に対して、投資教育を積極的に提供出来るようになったのは、受託者責任を負いかねないアドバイス提供と、教育の違いが、より明確になったからである。
3. 従業員が投資アドバイスを必要としていることに対する認識は広まっており、規制当局・401(k)プランに関するサービスを提供する業者・企業とも、その普及にはほぼ賛成である。しかし、規制緩和を望む声はあるものの、その方法論については意見がまとまっておらず、今後の議論が注目される。
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