1. 1930年代に制定されたグラス・スティーガル法の改廃を含み、銀行、証券業、保険業の相互乗り入れを可能とする包括的な金融制度改革法(Gramm-Leach-Bliley Act、GLB法)が、11月12日、大統領の署名を経て成立した。GLB法では、一定の条件を充たせば、総合的な金融サービスの構築が可能となる一方で、銀行業と一般事業との分離(Separation of banking and commerce)は、従来存在した抜け道を塞ぎ、より強化する内容となっている。
2. 銀行が、様々な金融業務に参入するには、金融持ち株会社(FHC)、銀行の金融子会社のいずれかの形態をとることとなる。ただし、あらゆる金融業務に従事出来るFHCと比すると、保険の引受や不動産開発及び不動産投資が明示的に禁止されている金融子会社方式のほうが、業務範囲は制限されている。
3. GLB法が成立したことで、98年9月に誕生したシティグループのケースのように、銀行による保険会社買収や合併の動きが活発になる可能性がある。もっとも、FRBやOCCを中心とした規則(regulation)や命令(order)の改正などによって、事実上業態間の垣根は急速に低下しており、業容拡大に及ぼす影響は限定的なものになろう。
4. むしろ、銀行の業容拡大を推し進めるのと同時に、顧客のプライバシー保護に関する規定を盛り込んだ米国の例は、我が国における金融機関の今後のあり方を探るうえでも、大いに参考になる。
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