1. 米国のインターネット金融取引は、概して価格優位性・利便性を売り物とする新興金融機関が、牽引役となって成長してきた。しかし99年は、彼らの勢力を無視出来なくなった大手金融機関がインターネットを戦略的に位置づけるようになったこともあり、金融ポータル構築の動きが目立った。
2. 金融ポータルとしての覇権争いは、金融機関に限定されない。むしろ金融情報のみならず、取引そのものも提供し始めたポータル業者の方が、認知度は高い。そこで金融機関も、ポータル業者と提携したり、彼らの営業手法を取り込むようになっている。
3. 近年、大手金融機関は、多様な商品・サービスを組み合わせる金融のフルサービスを志向してきた。彼らにとってポータル化は、従来のリテール戦略の延長上にあるとも言える。しかしその一方で、インターネットによる選択肢の広がりが、金融以外の構成要素を取り込むことを可能にする等、「フルサービス」の概念も多様化しつつある。
4. 大手金融機関の取り組みを見ても、金融ポータルには様々なタイプが混在しており、その行方は定かでない。しかし、広範かつ質の高い情報は言うまでもなく、これらの更新頻度を高めてカスタマイズ化も可能にした上で、頻度の高い取引を複数提供していくことが、鍵の一つとなっていくようである。
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