1. 米国ではT+1決済への移行に向けて、業界団体のSIA(Securities Industry Association, 米国証券業協会)を中心に具体的な検討が始まっている。99年12月にはSIAのT+1運営委員会の小委員会から、T+1における新しい機関投資家取引処理フローのモデルに関する中間報告も公表され、業界全体で議論が活発化しつつある。
2. 機関投資家取引処理のプロセスについては、T+1決済対応もさることながら、昨今の取引量の急激な増加に伴うオペレーション・リスクへの対応が重要課題と認識されている。オペレーションのリエンジニアリングは今までにも標準プロトコルの導入、新しい照合プロセスの制度的な整備などの対応がとられてきたが、利用者が一定の規模に育っていないため、問題に対応しきれていない。新モデルの全面的導入により標準化の徹底が図られ、取引処理のSTPに貢献することが期待されている。
3. T+1運営委員会では機関投資家取引のプロセシング以外の分野でも、資金決済、情報の電子的な保管・送達、券面のあり方などの問題について、具体的な検討が進んでいる。また、T+1移行の業界へのインパクトを総合的に分析する作業も手掛けている。2000年6月にはこれらの検討分野全てについて白書を作成し、SECや議会などに対し総合的な報告を行うことが予定されている。
4. 証券会社にとってT+1対応は大きな投資であるが、T+1実施にあたってSTP環境が整えば大きな経費削減効果が得られるため、前向きに捉える向きも少なくない。
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