1. 現在EUで進められている金融市場規制改革の一環として、賢人委員会(the Committee of Wise Men)が、証券市場規制の立法を迅速化するための新しい手続き案を発表し、2001年3月のストックホルム首脳会議で承認された。
2. 賢人委員会が提案した立法手続きは、(1)法の基本的な方針を定めた指令・規則を、欧州議会とEU理事会が共同手続きで採択する、(2)(1)で採択された法の実施に関する措置を、欧州委員会が制定する、(3)加盟国間の協力体制を強化して(1)と(2)で制定された法の実施を促進する、(4)欧州委員会が中心となって、加盟国によるEU法の実施を確保する、の4段階に分かれている。
3. 2001年6月6日には、同立法手続きにおいて欧州委員会を補佐する、欧州証券委員会(European Securities Committee)と欧州証券規制機関委員会(European Securities Regulators Committee)が創設された。欧州証券委員会には、米国証券取引委員会(SEC)のような証券法の執行権限、規則の制定権限、準司法的権限はない。
4. 新しい立法手続きは2002年の初めまでに実行される予定で、立法の迅速化と加盟国によるEU法実施の促進という賢人委員会の目的が達成されるかが注目される。
5. 今回の立法手続きの改正では、欧州版SECと呼べるような、超国家的な欧州単一規制機関の創設は見送られた。但し、2004年に行われる包括的な見直しにおいて、同立法手続きが上手く機能していないと判断された場合には、欧州単一規制機関の設置が再検討される見通しである。
|